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<2年p.130>

3 図形の性質の確かめ方

 仮定と結論

Q  Question

前ページの問2⑴の問題について,どうして2つの三角形が合同になるか,説明してみましょう。

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三角形の合同条件を使えば説明できるね。

うまく人に伝えるには,どうやって整理すればいいのかな。

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見方・考え方 

根拠を明らかにして,説明できるかな。

 目標 ▷ あることがらが成り立つことを説明しよう。

 あることがらが成り立つことを説明するには,「わかっていること」と「説明しようとすること」を,はっきりと区別することが必要である。
 たとえば,Qでは,
(Ⅰ) わかっていることは,  [mathjax]\(\underline{AB=DB,AC=DC}\)
(Ⅱ) 説明しようとすることは,[mathjax]\(\underline{\underline{\triangle ABC \equiv \triangle DBC}}\)

 したがって,Qで説明しようとすることがらは,次のように書くことができる。
[mathjax]\(\triangle ABC\) と[mathjax]\(\triangle DBC\) において,
「[mathjax]\(\underline{AB=DB,AC=DC}\)ならば,[mathjax]\(\underline{\underline{\triangle ABC \equiv \triangle DBC}}\)」
 このとき,[mathjax]\(\underline{\quad\quad}\)の部分を 仮定,[mathjax]\(\underline{\underline{\quad\quad}}\)の部分を 結論 という。

 数学では,説明しようとすることがらを,「ならば」を用いた文章で表すことが多い。

 問 1  前ページの問2⑵,⑶について,仮定と結論をいいなさい。

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<2年p.131>

 問 2  次のことがらの仮定と結論をいいなさい。

⑴ [mathjax]\(\triangle ABC \equiv \triangle DEF\) ならば, [mathjax]\(AB=DE\)である。
⑵ [mathjax]\(\triangle ABC\) で,[mathjax]\(\angle A=90^{ \circ }\) ならば,[mathjax]\(\angle B+\angle C=90^{ \circ }\) である。
⑶ 2つの整数 [mathjax]\( a \) , [mathjax]\( b \) が奇数ならば, [mathjax]\( a+b \) は偶数である。

 証明

 例 1  前ページの【Q】のことがらについて,[mathjax]\(\triangle ABC \equiv \triangle DBC\) であることを説明しなさい。

 仮定  [mathjax]\(AB=DB\),[mathjax]\(AC=DC\)

 結論  [mathjax]\(\triangle ABC \equiv \triangle DBC\)

説明

[mathjax] \(\triangle ABC\) と[mathjax]\(\triangle DBC\) において,

[mathjax] \(\begin{align} &\mathsf{仮定から,} &AB=DB &\cdots \cdots ① \\ &\quad &AC=DC &\cdots \cdots ② \\ &\mathsf{共通な辺だから,} &BC=BC &\cdots \cdots ③ \end{align}\)

①, ②, ③より,3組の辺がそれぞれ等しいから,

[mathjax] \(\triangle ABC \equiv \triangle DBC\)

上の説明をする際,三角形の辺の長さや角の大きさについて,具体的な値は使っていない。したがって,三角形の辺の長さや角の大きさがどんな三角形でも,2つの三角形は合同であることがいえる。 

このように,あることがらが正しいことを,すでに正しいと認められたことがらを根拠にして,筋道を立てて説明することを 証明という。

 問 3  上で証明したことから,角の大きさについて,どんなことがわかりますか。

合同な図形の性質を考えると,いろいろなことがわかるね。

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<2年p.132>

 証明のすすめ方

Q  Question

線分ABと線分CDが点Mで交わるとき,
 [mathjax]\(AC/\!/DB\),[mathjax]\(AM=BM\) ならば,[mathjax]\(CM=DM\)
です。このことをどのように証明すればよいか考えてみましょう。

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2つの三角形が合同であることが示せれば,対応する辺や角が等しいといえるね。

どの合同条件が使えるのかな。

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見方・考え方 

根拠を明らかにして,説明できるかな。

証明をするときに,どんな手順で考えればよいか整理してみよう。

① 仮定と結論を区別して,図に必要な印を記入する。

Qの問題で,仮定は [mathjax]\(AC/\!/DB\),[mathjax]\(AM=BM\),結論は[mathjax]\(CM=DM\)である。このとき,たとえば仮定は青い印,結論は赤い印で示すなど,区別がつくようにしておくとわかりやすくなる。

② 結論をいうために何がいえればよいか考える。

[mathjax]\(CM=DM\)であることをいうためには,CMとDMが対応する辺になるような合同な図形を見つければよい。
したがって,[mathjax]\(\triangle AMC\) と [mathjax]\(\triangle BMD\) が合同であるかどうかを確かめればよい。

③ 根拠を明らかにしながら,証明を書く。

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<2年p.133>

前ページの手順で考えて,証明として書くと,次のようになる。

[仮定][mathjax]\(AC/\!/DB\),[mathjax]\(AM=BM\)
[結論][mathjax]\(CM=DM\)
[証明]
[mathjax]\(\triangle AMC\) と[mathjax]\(\triangle BMD\) において,
仮定から,[mathjax]\(AM=BM\) ・・・・・・①
平行線の錯角は等しいから,
[mathjax]\(AC/\!/DB\)より,
 [mathjax]\(\angle CAM=\angle DBM\)  ・・・・・・②
対頂角は等しいから,
 [mathjax]\(\angle AMC=\angle BMD\)  ・・・・・・③
①,②,③より,1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいから,
  [mathjax]\(\triangle AMC \equiv \triangle BMD\)
合同な図形の対応する辺は等しいから,
    [mathjax]\(CM=DM\)

 問 4  右の図で,[mathjax]\(AB=DC\),[mathjax]\(\angle ABC=\angle DCB\) ならば,[mathjax]\(\angle BAC=\angle CDB\) です。このとき,次の問いに答えなさい。

⑴ 仮定と結論をいい,図に必要な印を記入しなさい。
⑵ 結論をいうためには何がいえればよいですか。
⑶ このことを証明しなさい。
⑷ ⑶で証明したことから,[mathjax]\(\angle BAC=\angle CDB\) のほかにどんなことがわかりますか。

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<2年p.134>

 問 5  [mathjax]\(\angle XOY\) の二等分線 OCを右の図のように作図しました。次の[mathjax]\(\boxed{\phantom{0000}}\)をうめて,作図した半直線OCが[mathjax]\(\angle XOY\) の二等分線であることを証明しなさい。

[仮定][mathjax]\( OA=OB,AC=BC \)
[結論][mathjax]\( \angle AOC=\angle BOC\)
[証明]
点Aと点C,点Bと点Cをそれぞれ結ぶ。
[mathjax]\(\triangle AOC\) と [mathjax]\(\triangle BOC\)において,

[mathjax]\( \begin{array} \mathsf{仮定から,}\phantom{00000} &&OA=\boxed{\phantom{0000}} &\cdots \cdots ① \\ & &AC=\boxed{\phantom{0000}} &\cdots \cdots ② \\ \mathsf{共通な辺だから,}& &OC=\boxed{\phantom{0000}} &\cdots \cdots ③ \end{array}\)

①,②,③より,[mathjax]\(\boxed{\phantom{00000000}}\)がそれぞれ等しいから,
      [mathjax]\( \triangle AOC \equiv \triangle BOC\)
合同な図形の対応する角は等しいから,
      [mathjax]\(\angle AOC=\boxed{\phantom{000000}}\)

 問 6  大和さんは,右の問題を次のように証明しました。この証明は正しいですか。誤りがあれば,正しく直しなさい。

次の図で,[mathjax]\(AO=DO\),[mathjax]\(BO=CO\)ならば,[mathjax]\(AB/\!/CD\)です。このことを証明しなさい。

 正しいかな? 

[mathjax]\(\triangle AOB\)と[mathjax]\(\triangle DOC\)において,

[mathjax]\( \begin{array} \mathsf{仮定から,} &AO=DO &\cdots \cdots ① \\ &BO=CO &\cdots \cdots ② \\ &AB=DC &\cdots \cdots ③ \end{array}\)
[mathjax]\( \begin{array} &\mathsf{①,②,③より,}\mathsf{3組の辺がそれぞれ等しいから,} &\triangle AOB \equiv \triangle DOC \\ \mathsf{合同な図形の}\mathsf{対応する角は等しいから,}\phantom{00000000} & \angle ABO=\angle DCO \end{array}\)

錯角が等しいから,[mathjax]\(AB/\!/CD\)

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<2年p.135>

 問 7  次の図は,[mathjax]\(\angle XOY\) と大きさの等しい角[mathjax]\(\angle DAB\) の作図の方法を示しています。はじめに半直線ABを引き,①〜⑤の手順で作図することができます。

下の問いに答えなさい。

⑴ 適当な大きさの角[mathjax]\(\angle XOY\) をかき,それと大きさの等しい角[mathjax]\(\angle DAB\) を上の手順で作図しなさい。
⑵ この作図の方法が正しいことを証明しようと思います。次の問いに答えなさい。

(Ⅰ) 仮定と結論をいい,図に必要な印を記入しなさい。
(Ⅱ) 仮定から結論をいうためには,何がいえればよいですか。
(Ⅲ) このことを証明しなさい。

▲トライ  次の図は, 「直線[mathjax]\( ℓ \)上にない点Pを通る[mathjax]\( ℓ \)の平行線」の作図の方法を示しています。作図の手順①〜③を説明してみよう。

また,三角形の合同を使って,この作図の方法が正しいことを証明してみよう。

1年のときに学んだ作図のしかたについて,根拠を明らかにして説明できるね。

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<2年p.136>

 逆

Q  Question

次の⑴,⑵のことがらについて,仮定と結論をそれぞれいいましょう。また,⑴,⑵のことがらは正しいといえるでしょうか。

⑴ 2つの三角形が合同ならば,3組の角はそれぞれ等しい。
⑵ 2つの三角形の3組の角がそれぞれ等しいならば,合同である。

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仮定と結論が入れかわっているね。

入れかわっているだけだから,どちらも正しいといえるんじゃないかな。

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見方・考え方 

仮定と結論を入れかえたとき,いつでも正しいといえるか確かめられるかな。

Q⑴,⑵の2つの仮定と結論の関係を整理すると,次のようになる。
Qの図で,

このように,仮定と結論が入れかわっている2つのことがらがあるとき,一方を他方の逆という。たとえば,上の⑵は⑴の逆で,⑴は⑵の逆である。

Qで調べたように,あることがらが正しくても,そのことがらの逆がいつでも正しいとは限らない。したがって,あることがらの逆が正しいことをいうためには,あらためてそのことがらを証明する必要がある。
また,あることがらが正しくないことを示すには,それが成り立たない例を1つあげればよい。このような成り立たない例を反例という。

【Q】では,3組の角の大きさが等しくて,辺の長さがちがう2つの三角形を示せば反例になるね。

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<2年p.137>

 問 8  次のことがらの逆をいいなさい。また,それが正しいかどうかを調べなさい。正しくない場合は,反例をあげて示しなさい。

⑴ 2直線 [mathjax]\( ℓ \) ,[mathjax]\( m \) が平行ならば,同位角[mathjax]\( \angle x \) と [mathjax]\( \angle y \) は等しい。
⑵ [mathjax]\(\triangle ABC \equiv \triangle DEF\) ならば,[mathjax]\(\triangle ABC\) と[mathjax]\(\triangle DEF\) の面積は等しい。
⑶ [mathjax]\(\triangle ABC\) で,[mathjax]\(\angle A=90^{ \circ }\) ならば,[mathjax]\(\angle B+\angle C=90^{ \circ }\) である。
⑷ [mathjax]\(a \gt 0 \) ,[mathjax]\(b \gt 0\) ならば,[mathjax]\(ab \gt 0 \) である。

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四角形の合同条件はあるの? Tea Break

四角形の合同条件は,次の3つがあります。

① 4組の辺と1つの角がそれぞれ等しい。

② 3組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。

③ となり合う2組の辺と,その間の角と両端の角がそれぞれ等しい。

4組の辺が等しい四角形では,1つに決まらないのかな。

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 実際に,四角形が1つに決まることを確かめてみましょう。