<2年p.170>
3 特別な平行四辺形
Q Question
平行四辺形になるための条件を満たすのは,どんな四角形かな。
ほかの図形でも,共通することがあるのかな。
見方・考え方
まとめて見ると,どんなことがわかるかな。
目標 ▷ 平行四辺形になるための条件を満たす四角形について調べよう。
長方形,ひし形,正方形は,次のように定義される。
定義
4つの角が等しい四角形を長方形という。
4つの辺が等しい四角形をひし形という。
4つの角が等しく,4つの辺が等しい四角形を正方形という。
長方形の定義「4つの角が等しい四角形」は,平行四辺形になるための条件「2組の対角がそれぞれ等しい」を満たしている。
したがって,長方形は平行四辺形であるといえる。
問 1 ひし形は平行四辺形といえますか。また,その理由を説明しなさい。
例 1 長方形ABCDで,2つの対角線ACとDBの長さは等しいことを証明しなさい。
証明
[mathjax]\(\triangle ABC\)と[mathjax]\(\triangle DCB\) において,
仮定から,
[mathjax]\(\angle ABC=\angle DCB\quad\cdots\cdots\text{①}\)
長方形の対辺は等しいから,
[mathjax]\(AB=DC\qquad\cdots\cdots\text{②}\)
また,BC は共通[mathjax]\(\cdots\cdots\text{③}\)
①, ②, ③より, 2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいから,
[mathjax] \(\hspace{40pt}\triangle ABC\equiv \triangle DCB\)
したがって,[mathjax]\(\hspace{7pt}AC=DB\)
<2年p.172>
Q Question
平行四辺形にどんな条件を加えれば,長方形,ひし形,正方形になるかを考えてみましょう。
辺の長さや角の大きさが等しいとき,どうなるかな。
見方・考え方
どこに着目して考えればいいかな。
2 美月さんは,【1】 ㋐について,この四角形はひし形になると考え,次のように説明しました。
美月さんの考え
平行四辺形の対辺は等しいから,[mathjax]\(AB=DC\),[mathjax]\(AD=BC\)である。これに,[mathjax]\(AB=BC\),つまり,となり合う辺が等しいという条件を加えると,4つの辺がすべて等しくなる。
したがって,▱ABCDはひし形になる。
【1】 ㋑について,この四角形が長方形になることを説明してみましょう。
3 平行四辺形が長方形やひし形になるためには,ほかにどんな条件があるでしょうか。また,正方形になるためには,さらにどんな条件を加えればよいでしょうか。条件を考え,その理由を説明してみましょう。
対角線を使って考えられるかな。
どんなことがわかったかな
長方形やひし形,正方形は,平行四辺形になるための条件を満たしているため,平行四辺形であるとまとめることができます。
<2年p.173>
確かめよう 2節 四角形
1 平行四辺形の定義をいいなさい。
<2年p.174>
5章 「三角形・四角形」を学んで
できるようになったこと
二等辺三角形の性質や,二等辺三角形になるための条件を理解し,それらを使って図形の新たな性質が成り立つことを証明することができる。
平行四辺形の性質や,平行四辺形になるための条件を理解し,それらを使って図形の新たな性質が成り立つことを証明することができる。
正三角形が二等辺三角形の特別な場合であることや,長方形やひし形,正方形は平行四辺形の特別な場合であることを理解することができる。
身のまわりや数学の中から見つけた問題を,学んできた図形の性質を使って解決することができる。
さらに学んでみたいこと
これからもっと学んでみたいことや,疑問に思ったことを書いておこう。
<2年p.175>
5章のまとめの問題 解答 P.250〜251 基本
1 次の[mathjax]\(\boxed{\phantom{000}}\)にあてはまることばをいいなさい。
⑴ 二等辺三角形の[mathjax]\(\boxed{\phantom{000}}\)の二等分線は,底辺を垂直に2等分する。
⑵ 2つの直角三角形は,斜辺と[mathjax]\(\boxed{\phantom{00000}}\),または,斜辺と[mathjax]\(\boxed{\phantom{00000}}\)がそれぞれ等しければ,合同である。
⑶ 平行四辺形の2つの対角線は,それぞれの[mathjax]\(\boxed{\phantom{000}}\)で交わる。
⑷ 長方形は,[mathjax]\(\boxed{\phantom{00000000}}\)と定義される。
[証明]
[mathjax]\(\triangle ABE\equiv \triangle CDF\)から,[mathjax]\(AE=\boxed{\phantom{000}}\quad\cdots\cdots\text{①}\)
仮定から,[mathjax]\(\hspace{46pt}\angle AEF=\angle CFE\)
[mathjax]\(\boxed{\phantom{000}}\)が等しいから, [mathjax]\(\hspace{20pt}AE /\!/ \ \boxed{\phantom{000}}\quad\cdots\cdots\text{②}\)
①,②より,[mathjax]\(\boxed{\phantom{00000000}}\)から,四角形 AECF は平行四辺形である。
<2年p.176>
5章のまとめの問題 応用
<2年p.177>
[問題]
図1のように,[mathjax]\(\triangle ABC\)において,[mathjax]\(\angle ABC\)の二等分線と[mathjax]\(\angle ACB\)の二等分線を引き,それらの交点をDとします。Dを通り,辺BCに平行な直線ℓを引き,ℓと辺AB,ACとの交点をそれぞれE,Fとします。このとき,[mathjax]\(EB=ED\)となることを証明しなさい。
[証明]
[mathjax]\(\triangle EBD\)において,
仮定から,[mathjax]\(\hspace{24pt}\angle DBC=\angle EBD\quad\cdots\cdots\text{①}\)
平行線の錯角は等しいから,
[mathjax]\(ED/\!/BC\)より,[mathjax]\(\angle DBC =\angle EDB\quad\cdots\cdots\text{②}\)
①,②から,[mathjax]\(\hspace{14pt}\angle EBD = \angle EDB\)
2つの角が等しいから,[mathjax]\(\triangle EBD\)は二等辺三角形である。
したがって,[mathjax]\(\hspace{28pt}EB=ED\)
次の⑴〜⑶の問いに答えなさい。
⑴ 上の証明の下線部「仮定から」の仮定を,次の㋐〜㋓の中から1つ選びなさい。
㋐ BDは[mathjax]\(\angle ABC\)の二等分線である。
㋑ CDは[mathjax]\(\angle ACB\) の二等分線である。
㋒ 直線ℓは点Dを通り,辺BCに平行な直線である。
㋓ [mathjax]\(EB=ED\)である。
⑵ 図1で,[mathjax]\(FC=FD\)であることを証明しなさい。
⑶ [mathjax]\(\triangle EBD\)と[mathjax]\(\triangle FCD\)が二等辺三角形であることから,図1において,[mathjax]\(\triangle AEF\)のまわりの長さと等しいものがあることがわかります。次の㋐〜㋔の中から1つ選びなさい。
㋐ [mathjax]\(AE+AF\)
㋑ [mathjax]\(AE+AC\)
㋒ [mathjax]\(AB+AF\)
㋓ [mathjax]\(AB+AC\)
㋔ [mathjax]\(DB+DC\)
<2年p.179>
② 前ページの①で調べたことを証明してみましょう。
たとえば,㋒の場合に[mathjax]\(AQ=PB\)が成り立つことは,次のように証明することができます。
[証明]
[mathjax]\(\triangle QAC\)と[mathjax]\(\triangle BPC\)において,
仮定から,[mathjax]\(\hspace{8pt}AC=PC\quad\quad\cdots\cdots\text{①}\)
[mathjax]\(\hspace{50pt}QC=BC\quad\quad\cdots\cdots\text{②}\)
また,
よって,[mathjax]\(\angle ACQ = \angle PCB\quad\cdots\cdots\text{③}\)
①,②,③より,2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいから,
[mathjax]\(\hspace{32pt}\triangle QAC \equiv \triangle BPC\)
したがって,[mathjax]\(AQ=PB\)